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ロシアとイランの国際的制裁の回避は、象徴的な意味を持つか!?

五月雨まくらです。
ビットコインを初めとする仮想通貨の取引(決済・送金など)は、中央体(政府や銀行など)にコントロールされずにトラストレスで実行することができます。
トラストレスとは、取引を実行する上で信頼できる第三者の仲介を挟まずに、当事者間で取引を完了できる特性です。
勿論、この特性は数多くの利点が考えられますが、悪用することも可能です。
それが、本記事の議論の焦点である、ロシアとイランによる国際的制裁の回避と繋がっていきます。

ロシアとイランの国際的制裁とは?

まずは前提知識として、ロシアとイランの国際的制裁について整理しましょう。

ロシア政府の米大統領選挙の干渉

2016年米国の大統領選挙において、ロシア政府が共和党のトランプ氏に有利なプロパガンダをサイバー攻撃を通じて行ったと報じれらています。
トランプ氏は、ロシアによる干渉の事実は認める一方、自身とロシアの関係性に関しては否定しており、ロシアに対して国際的制裁を行っています。
トランプ氏に有利な工作を行うことによりトランプ氏の制裁を受けるという構図は皮肉に見えます。

米国のイラン核合意離脱の発表

トランプ大統領は、オバマ政権によるイラン核合意を批判、イランに対する追加同意を求めましたが、結果的に同意は得られず、イラン核合意を離脱することを発表(2018年5月8日)、イランの国際的制裁を強める姿勢を明らかにしました。
なお、イラン核合意とは、イランの原子力関連の活動を制限する代わりに、核関連の対イラン制裁を緩和する取り決めのことです。
背後には、同国によるテロ組織への支援が、中東地域を不安定にしたと主張しています。

仮想通貨が国際的制裁を免れる手段に!?

ロシアとイランの他にも、国際的制裁を受けている国家があります。
そのような国家は、SWIFT(国際銀行間通信協会)のような伝統的な銀行システムの代替として、仮想通貨に興味を示しています。その理由は3つ考えられます。
仮想通貨は、① 中央体による影響を受けない ② 匿名性が高い③ 法制や規制が未発達であるからです。

① 中央体による影響を受けない

冒頭でも少し述べましたが、仮想通貨のネットワークは政府や銀行などの中央組織を介することなく、分散化されたP2Pネットワーク上で取引が行われます。
そのため、仮想通貨を、制裁を行う組織や期間のコントロール外で、動かすことができるようになります。
これにより、大量の資金を仮想通貨を使い、やり取りすることが可能になります。

② 匿名性が高い

仮想通貨を支える技術であるブロックチェーンは、すべての取引が公開されている一方、それらの記録から特定の個人を割り出すことはできない仕組みになっています。
これは個人のプライバシーを守るという意味では長所なのですが、マネーロンダリングなどの犯罪に仮想通貨を利用することができるという短所を持ちます。
つまり、制裁を受けている国家がどのアドレスから資金を調達・送金しているかを判断することが難しくなります。
さらに、匿名通貨と呼ばれるZcashやMoneroといった仮想通貨は、さらに匿名性を高める仕組みが備わっています。

③法制や規制が未発達である

仮想通貨の法制や規制は今世界中で急ピッチで作成されていますが、全体としてまだまだ未発達です。
そのため、制裁国がこれを抜け穴として利用する可能性が高いです。
技術の進歩に法制や規制が追いついていないと言われて久しいですが、仮想通貨の世界でも同様のコトが起きています。
後述しますが、各国家のルール作りも大切である一方、国家間を跨る協調はより重要になります。

仮想通貨の悪用をどのように考えればいいのか?

国際的制裁は主に、経済的な文脈です。
つまり、制裁国が特定の行動を止めるまで、資金の流入を抑えることが制裁の目的となります。
しかし、ここまで述べた通り、仮想通貨によって、資金を調達することが可能になれば、制裁は意味を持たなくなります

これは、非常に危険であると筆者(五月雨)は考えます。
例えば、国家からのお金がテロ組織に流れている場合、経済的制裁が意味を成さず、仮想通貨取引で資金の受け渡しが行われれば、それは世界の平和を直接的に脅かすことを意味するからです。
人々の仮想通貨に対する見方を簡単に示すと2種類あると思います。ざっくり言えば、楽観と悲観です。
楽観的な人々は、仮想通貨の成長による利益を重要視します。
一方、悲観的な人々は、仮想通貨の成長によるリスクを重要視します。お判りの通り、これら2つの見方には正解がありません。
筆者(五月雨)の個人的な考えとしては、仮想通貨のリスクを恐れるのではなく、利益を重要視して、成長を楽しみにしたいと考えています。
ただ、一定のルール作りは必要であると考えています。次章ではそのことについて述べたいと思います。

超国家的協調が必要ではないか?

前章では、仮想通貨の負の側面について論じました。
筆者(五月雨)の考えでは、今までの国際的制裁のレジームでは、仮想通貨による資金の調達を制限することはできないと思います。
なぜなら、仮想通貨は、政府や国家という既存の区分を飛び越えて機能するからです。
つまり、国家を跨ぐ新しい概念に対して、超国家的な協調による枠組みの作成が急務だと考えます。
現時点において、仮想通貨に対する規制や法律は、国ごとに異なっています。
仮想通貨を全面的に禁止している国もあれば、中央銀行が仮想通貨を発行する国もあります。
そのような環境において、統一されたルールを作ることは難しいかもしれませんが、それぞれの国家が協調して話し合いの場を持ち、また、仮想通貨コミュニティのコンファレンスなどにおいても、積極的に議論が進められる必要があります。
筆者(五月雨)の個人的な願いとしては、そのような超国家的協調のイニシアティブを日本が先導すれば、国民として嬉しく思います。

ロシアとイランのケースは象徴的である

ここまで、ロシアとイランのケースに対する説明は少な目に、仮想通貨による国際的制裁に関することについて述べました。
例えば、どうして仮想通貨は国際的制裁の回避に使用されるかについて、あるいは仮想通貨の悪用に関して、筆者(五月雨)がどのような考え方を持ってるかについて説明しました。
最後に強調しておきたいことは、ロシアとイランが国際的制裁の回避に成功するのであれば、それはとても象徴的な意味を持つということです。
つまり、他国も追従する可能性が高くなります。
そのような状況になれば、世界の平和が脅かされることにも繋がりかねません。
そのため、超国家的な協調と枠組み作りは迅速に行われなくてはなりません。

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五月雨まくら

五月雨まくら

一橋大学商学部(専攻:芸術産業論)卒業。 外資系コンサルのアクセンチュアを経て独立、ライターになる。 2017年5月、仮想通貨に興味を持って以来、さまざまなメディアにコラムを寄稿。
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