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ノルウェーとイングランドが中央銀行による仮想通貨を検討?それぞれの意図とは?

五月雨まくらです。
本記事では、中央銀行による仮想通貨の発行をテーマに解説していきます。
ノルウェーとイングランドの中央銀行は、CBDC (central bank-issued digital currency)すなわち中央銀行によって発行される仮想通貨を調査中とする旨の報告書を発表しました。
対象的に、ワシントンD.C.にある米連邦準備理事会(FRB/Federal Reserve Board)のラエル・ブレーナード(Lael Brainard)代表は、CBDCに反対する意向を表明しました。
本記事では、3者の意見を個別に紹介した後、筆者(五月雨)のCBDCに対する個人的見解を述べたいと思います。

ノルウェー中央銀行(Norges Bank)はCBDCを検討している

ノルウェー中央銀行(Norges Bank)のワーキンググループが作成した報告書によると、 ノルウェー中央銀行は、仮想通貨の発行を検討していると記述されています。
ノルウェー中央銀行は、将来的に現金の使用が減少した場合に、効率的かつ堅牢な決済・通貨システムへの信頼を確保するためには、CBDCが適切な措置になり得るとしています。
また、それ以外の場合でも、民間銀行の預金への公的信用リスクが生じない電子決済システムのための独立したバックアップソリューションとして、
CBDCを活用することができると報告書にはあります。
報告書は、ノルウェー中央銀行がCBDCを導入するにあたり、主導権を握るべきかどうかを判断するには、時期尚早であると述べています。
いずれにしても、CBDCを勇み足で導入する必然性はありません。
要するに、中長期的視点で導入を検討していけば十分でしょう。
ノルウェー中央銀行は、CBDCに関して、より深く議論を行い、ナレッジを広め、ステークホルダーと対話を始めることが求められます。

イングランド銀行(Bank of England)はCBDCのモデルケースを調査している

イングランド銀行はCBDCの3つのモデルケースを分析したワーキングペーパーを公開しています。
3つのモデルケースとは、

  • 金融機関アクセス(FI)
  • エコノミー・ワイドアクセス (EW)
  • 金融機関+CBDCベースのナローバンクアクセス(FI+)

です。
なお、ナローバンクとは、のことです。
投資対象を国債など安全資産に限定しているので、勿論、運用利回りが少なくなります。
そのため、オペレーションコストをいかに下げるかが経営上の課題になります。
FIモデルは、CBDCへのアクセスが、銀行と非銀行金融機関(FBFI)に、限定されています。
EWモデルは、金融機関に加えて、家系と企業がCBDCにアクセスできます。
F+モデルでは、金融機関とナローバンクに限定されたCBDCのアクセスが可能です。
CBDCの導入が基本原則に従うなら、銀行による資金調達は必ずしも削減されるわけではなく、民間部門への信用と流動性の提供は契約の履行を必要とせず、
CBDCに対するシステム全体の銀行預金の運用リスクが存在すると、ワーキングペーパーには書かれています。
そして、CBDCと準備金は兌換性がありません。
また、銀行預金からCBDCへの兌換も保証されていません。
最後に、ワーキングペーパーは、イングランド銀行は適格証券に対してのみCBDCを発行すると記述しています。

CBDCに反対する米連邦準備理事会(FRB / Federal Reserve Board)

ノルウェーとイングランドの報道は、米連邦理事会(FRB)のラエル・ブライナード(Lael Brainard)代表が、サンフランシスコで行われたイベント(Decoding Digital Currency Conference)で、CBDCに対して反対することを表明したおよそ1週間後に報じられました。
ブライナード代表は「CBDCを実現するためには、サイバー攻撃やマネーロンダリングへの対策を含む、技術的及び運用上において、乗り越えなければならない深刻な問題がいくつもある」と主張しています。
また同氏は、CBDCがリテールバンキング(小口金融業務)預金を代替し得るとしています。
また、もしCBDCが成功すれば、生産的経済活動のためのローンの制限や広範なマクロ経済への影響をもたらす可能性があると、指摘しています。
最後に、米国のほとんどの企業や消費者は、デビットカードやクレジットカード、決済アプリケーション、自動決済システムを用いて、すでに電子決済が普及しているので、CBDCがそもそも必要であるのか?とブライナード代表は述べています。

CBDCに対する筆者(五月雨)の個人的見解

CBDCが是か否かを論じる前に、そもそも中央銀行はどのような目的を持って活動しているのかについて理解する必要があります。
端的に、中央銀行の目的は「金融システムの安定」です。
そのため、中央銀行は、金融政策を実行することにより、目的の達成を目指します。
この前提を踏まえると、もし非中央集権型の仮想通貨が、金融システムに与える影響が無視できない規模になる場合、通常の金融政策だけでは対応できなくなることが予想されます。
そこで、CBDCが議論される訳です。
CBDCのメリットは、金融政策の有効性を確保できることです。
一方デメリットは、取引・契約情報が中央銀行に集中することです。
筆者(五月雨)の問題意識は、後者にあります。
筆者(五月雨)は、仮想通貨の最大の利点は、非中央集権型システムであることだと考えています。
その理由は、あらゆる取引や契約が第三者を信頼することなく実現される(トラストレス)ことにより、政府や企業などの中央集権型組織から、
本来必要である権力(パワー)を個々人が取り戻し、新たな民主主義が生まれると考えているからです。
要するに、中央銀行という組織が仮想通貨を発行するということは、本来の理念から考えると、論外です。
もし、中央銀行あるいは政府が膨大な取引や契約データの集積所になれば、仮想通貨の最大の利点が消滅するばかりか、民主主義とは真反対の方向へ社会が向かうことを意味します。
それは絶対に避けなければならないと筆者(五月雨)は考えています。
仮に、ジョージ・オーウェル著の「1984年」に登場するビッグブラザーのような偶像が生まれるのであれば、それは悲劇です。

まとめ

本記事では、ノルウェーとイングランドのCBDCに対する見解を紹介、かつ米連邦準備理事会の反対意見も取り入れ、フェアな議論になるように工夫しました。
最後の筆者(五月雨)の見解は多少、ラディカルですので、そのような考え方もあるのかと、参考程度にしてみてください。

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五月雨まくら

五月雨まくら

一橋大学商学部(専攻:芸術産業論)卒業。 外資系コンサルのアクセンチュアを経て独立、ライターになる。 2017年5月、仮想通貨に興味を持って以来、さまざまなメディアにコラムを寄稿。
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