BITDAYS編集部が仮想通貨界隈で気になって仕方ない人にお話を聞かせていただくインタビュー企画がスタートしました。第一回目は「まだ仮想通貨持ってないの?」のブログでおなじみ、プロブロガーのイケダハヤトさんにインタビューさせていただきました。
東京から高知県の限界集落へ移住し、ブログの執筆活動や仮想通貨への投資をしながら暮らすイケダハヤトさん。移住してからは、東京で暮らすよりもずっと豊かで効率的な暮らしに変わったそうです。今回はイケダハヤトさんがお住まいの高知県へお邪魔して貴重なお話を聞かせていただきました。記事内では、ネットで呼ばれていて馴染みのある愛称、イケハヤさんと呼ばせていただきます。
地方×仮想通貨が生み出す、都会にはない魅力
インターネット環境さえ整っていれば、いつでもどこでも取引や情報収集ができる仮想通貨。仮想通貨の取り引きは都会でも地方でも、場所は関係ありません。むしろ物価や光熱費、家賃など衣食住に掛かる金額は地方の方が安いこともあり、「地方×仮想通貨」の親和性は高いとも言われています。
そうしたライフスタイルを先駆けて実現したイケハヤさん。
昔から当たり前とされていた「会社に勤め、労働し給料を得る」というライフスタイルをくつがえすような自由で豊かな暮らしぶり、またその楽しそうな様子はブログやツイッターにも発信されています。
素敵な家に引っ越します。/ 便利な高知市から、山奥の街・本山町に移住しました。絶景の新居写真をご覧ください : まだ東京で消耗してるの? http://t.co/LzNOyvOyaD pic.twitter.com/STDUPyRCCy
— イケダハヤト@仮想通貨 (@IHayato) 2015年7月1日
早朝のわが家からの景色。ネタではなく、ここに住んでます。山奥はいいですぜ。まだ下界で消耗してるの? pic.twitter.com/56D2OSkcQc
— イケダハヤト@仮想通貨 (@IHayato) 2017年6月17日
獲れたてイノシシに加えて、セイメイ(ムロアジ)の刺身も!高知の天然物です。
赤ムロアジより脂も血合いも少なく、上品なお味。薬味たっぷり、しょうがポン酢で食べると絶品。焼いてもいいだろうなー。
高知最高かよ。。 pic.twitter.com/jTrhJjiZzu— イケダハヤト@仮想通貨 (@IHayato) 2017年12月6日
高知県の限界集落に暮らすイケハヤさんにインタビュー
─今回初めて高知を訪れたんですが、地域の方々が気さくに話しかけてくれたことに驚きました!外から来た人にもみなさん親切なんですね
田舎はどこもこんな感じだと思います。特に高知はウェルカムな姿勢が強いかもしれません。この辺りでスーツケースを持って地図を見ている人がいたら、みんな話しかけてくれますよ(笑)。僕がよく利用する飲食店でも、寒いからといって注文してないのに温かいものをふるまおうとしてくれました。人の優しさやあたたかさに日常的にふれられるというのは、東京ではありえないことだと思います。
─イケハヤさんのように地方へ移住をしたい人にとって、いきなり限界集落に行くのはハードルが高いと思う人もいます。まず地方の都市部で暮らし、段階を経て限界集落へ行くのがいいのでしょうか?
そのように段階を踏んでやってくる人もいますよ。地方といっても都市部にはお店も多く、車がなくてもくらせるほど便利な街が多いから暮らしやすいと思います。でも僕の周りにいる20代前半とかの若い人は、いきなり限界集落にやって来た人が多いです(笑)。僕が拠点を作ってるからというのもあるとは思いますが、移住してきてそのままフリーランスとして生活をしていますよ。そういう人というのは感度が高い人で、やっぱりみんな仮想通貨へ投資をしています。
─イケハヤさんが高知に移住された2014年ごろに比べ、現在は約2倍くらいまで地方への移住者が増えているデータがあります。その要因は何だと思いますか?
やっぱり、東京や都会の暮らしに魅力がなくなったというのが大きいのではないでしょうか。
─東京では時間や環境に縛られることが多く消費社会に巻き込まれると過去におっしゃってましたね
そう、そういうこともあり東京はクリエイティブになれない環境でもあると思います。その点、地方は土地も安いし物価も安い。安くいろんなものが手に入るということは、クリエイティブな発想がしやすいと。
こうしたところが東京と地方の大きな違い。なかでも組織や時間、場所に縛られないこと、また静かな環境を手に入れたことで、自分の仕事に集中して取り組めるようになったのも地方ならではの魅力ですね。特に時間が自由になったことが大きいです。
─自由になる時間や仕事に対する集中力は、やっぱり都会と地方の暮らしでは違うものですか?
全然違いますね。僕は会社からくるメールなんて見なくてもいいですし(笑)。時間あたりの集中力は、都会と地方では比較にならないほど地方がいいです。言っちゃえば、地方はチート。都会のように電車に数時間も乗ってるような出勤時間もないし、自分のこと以外に縛られることがありません。ONとOFFの切り替えがしやすいのも大きな魅力だと思います。
─地方へ移住するメリットは、自由な時間や環境が得られるということですね。そこに仮想通貨という新たな要素が加わると、どんなメリットが生まれるのでしょう?
僕は今、自分が動かなくても働いてくれる資本があるという状態です。資本主義というのは、資本に働かせるというのが本来の姿。これまではそれが労働力だったりしたわけですが、今ではいろんなものが資本主義にのりやすくなっています。例えるなら、僕のツイッターのフォロワーやブログの読者も資本の一つだし、もちろん仮想通貨自体も資本です。僕の周辺にはそうした資本が集まりやすい環境ができているんだと思います。なので自分の労働力を裂かなければいけない必要もなくなり、自由な時間がますます増えることにもつながります。
─現在のブログの前身「まだ東京で消耗してるの?」を執筆していたときよりも、今の方がアイディアやワクワクが止まらない印象をうけます。仮想通貨によってコンテンツ作りへの変化もあったのでしょうか?
仮想通貨はエンドレスに記事が書けるほどトピックスにはこと欠かないのがいいですよね。ブロガーとしてはいい商材。まだまだ勉強しなきゃいけないと日々感じるくらい、終わりが見えないから次々とコンテンツが制作できます。
─ブログのようなコンテンツのほかに、仮想通貨の技術を活用して今後挑戦してみたいことや具体的な構想はありますか?
もちろん、自分の中で考えているものがあり、実験的につくっていますよ。まずは自分のブログメディアとトークンを紐付けてみたいですね。ただしクロスチェーンのソリューションがもう少し発達したり、DEX(デックス※)とアトミックスワップ※がもっと一般化していけば実現できると思います。来年あたりにはトークンエコノミーをブログ上でつくりやすくなると思うので、それに向けて実験していきたいですね。そうした取り組みにも、近隣に住んでるエンジニアや高知に移住したがっている技術者たちと一緒に進めていけたらと思います。
※DEX(デックス)・・・非中央集権の分散型取引所。運営元がないため誰かに資金を預ける必要がない。ウォレット内の資金のプライベートキーを自身で保持したまま取り引きが可能。
※アトミックスワップ・・・取引所の仲介なしで仮想通貨取引をおこなえる仕組み。取引速度を向上させ、不正な取引のリスクを減らせる。
─仮想通貨の特性を活かして、今後地方活性化のためにできることはどんなことが考えられますか?
僕らが将来やりたいなと話していることがあって。僕が住んでいる嶺北(れいほく)地域で「嶺北コイン(独自トークンのようなもの)」をつくりたいです。嶺北地域は本山町、土佐町、大豊町、大川村の4つの自治体から成り立っていて、まずはそれぞれのトークンをつくります。Bancor(バンコール)という技術を使い、バスケット化することも可能で、バスケット化されたトークンを嶺北コインとして使えるようにする予定です。それぞれが独立して使えるけど連動も可能。技術的にはこれで実装できると思っています。
この仕組みが実現できればそれぞれの町コインに投資もできるし、実際に町を訪れてコインを使うこともできる。ICO的に自分たちで通貨をつくりだして経済圏を生み出すことにつながります。そして外貨(投資マネー)を集めて地域をより良くしていく、というのができたら面白いですよね。今年はそのためにいろいろ活動をしようと思っていますが、まずは通貨をつくりたいと思っています。自分たちで通貨をつくれば、まとめたり解体したりつなげたり、いろいろできるのが魅力ですよね。
さらにその先を考えるなら、それぞれの地域で発行した通貨がシームレスにつながっていく可能性も考えられます。例えば高知で宮崎のコインが使えるようになったり、その逆もできたり。そういうのがつながっていくと、今の日本円とは違う新しい経済圏が生まれるんじゃないでしょうか。具体的に3年後くらいには見えてくるのではと予想しています。今のGDPでは下位にいる地方でも、地域通貨という単位でみたらすごいパワーを持っていたりして。きっと、今の経済圏とはガラッと変わるでしょうね。
例えば高知県だったら“竜馬コイン”とかどうでしょう(笑)
そんな風に仮想通貨は、その土地に根付いた文化や農産物・工芸品などのブランドを活かして地方を豊かにすることも可能です。地方分権を進めて・・・もっといえば地方が独立してそれぞれの経済圏をつくりだす未来が来るんじゃないかと思っています。
─仮想通貨だからこそ見える地方の未来ですね!逆に、地方の特性を仮想通貨へ活かすことはどうでしょうか?
もちろんそれもできると思っています。僕が持っている土地(通称イケハヤランド)には電線がつながっていないんですよ。今後ソーラーパネルを置く予定ですが、電線がつながっていないから発電して余った電力を売ることができません。電力はおそらくすべて使い切ることはできないので、余った分でビットゼニー(BitZeny/ZNY)をマイニングしようと考えています。売電じゃない形で電力をマネタイズできるというのは、すごく可能性があると思うんです。
日本の電線が通っていないエリアでソーラー発電に向いている土地や、滝などのエネルギーを発電に使える土地は相当あるにも関わらず、電線がないために売電できない。そうした土地に小さいコンテナでも用意してビットゼニーのマイニングすれば、めちゃくちゃ収益性が出ますよね。それが新しい仕事にもなるし、田んぼで米を育てるようにマイニングをするってすごいですよね(笑)
─確かに、地方は仕事がないからという理由で移住を諦める人がいますが、そういった選択肢が生まれると寧ろ地方にはビジネスチャンスが多いと考えられますね
そうです。これから億り人もたくさん出てくるだろうし、この周辺の若者もどんどん収益を上げてます。そうすると僕らの周辺の若者だけで100億円くらいの仮想通貨ファンドがつくれるのではと考えています。その予算でこの嶺北地域をはじめ、地方に新しい風を吹かすことができればいいなと思います。
地方での暮らしはメリット満載。仮想通貨でさらに広がる可能性
お話を伺い地方の魅力にふれること、またその土地で時間や環境に縛られることなく暮らすことは多くのメリットがあることが分かりました。更にそういったゆとりある豊かな生活に仮想通貨がプラスされることで自分の為にも社会のためにも実現できる事や明るい未来がぐっと広がっていくと感じました。
イケハヤさん貴重なお話ありがとうございました!
取材:三矢晃平/文:BITDAYS編集部/撮影:堅田ひとみ