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HashHub Conference 2018 イベントレポート

五月雨まくら(@samidare_makura)です。
今月21日(土曜日)に東京・文京区でおこなわれたHashHub Conference 2018に潜入してきました!五月雨はさまざまなイベントによく出没していますが、このイベントはコンテンツの「濃さ」が一味違いました。合計8つのセッションが行われたのですが、その中で五月雨が非常に感銘を受けた3つのセッション(オープニングは除く)を厳選してお届けしたいと思います!

HashHub CEO 東昇慈さんによるご挨拶

ビットコイナーとして日々ご活躍されているHashHub CEOの東昇慈さんによる開会のご挨拶です。
まず現在の暗号通貨業界の変化のスピードは早く、その変化を読むことが難しいだけではなく、学ぶこともとても多いです。そして東さんによると、今は暗号通貨業界の大きな転換点にいるとのことです。例えば国内の規制は現在進行形で変質しており、また、既存業界からの資本と人材の流入によって業界の入れ替えが起こっています。逆にいえば、そのような現状を正しく把握して今後を予見すれば、大きなチャンスとなる可能性があります。HashHub Conference 2018ではさまざまな専門家が集まり、本気で議論をしています。ぜひ今後の活動の糧にしていただければとのことでした。

Pickup①:暗号通貨市場の概観と今後の投資トレンド

まず1つ目にご紹介するのが、株式会社ファムCEOの佐々木徹さんによる講演です。
暗号通貨市場を投資の側面からダイナミックに解説していて価格予想に大いに参考になります。

ビットコインのETF(上場投資信託)

今月8日、シカゴ・オプション取引所(CBOE)がビットコインETFの上場をSEC(米証券取引委員会)に申請しました。ただ過去を振り返るとビットコインETFの申請は何度となくおこわなれ、却下されてきた歴史があります。しかし今回の申請は、イーサリアムが証券ではないと公式に認められてから初となるため期待が高まっています
佐々木さん曰く、ビットコインETFが実現すれば、ビットコイン価格に極めて大きなプラスの影響を与えることになるようです。まずETFがおこなわれれば、ビットコインを株式と同じように取引することができます。これによって、日本の税率が雑所得の約50%から分離課税の約20%に減少する可能性があります。それはつまり市場に新たな参入者が増えるということです。さらに保管リスクや流動性リスクの解消にもなり、機関投資家が参加してくるようになります。ちなみに佐々木さんの機関投資家の定義は「人様のお金を預かって運用している組織」だそうです。
機関投資家のお金は約22 Trillion USDにも及び、1%が流入しただけでもビットコイン価格は19,000 USDになる計算です。さらに株式の市場では77 Trillion USDのお金があり、これが1%流入するとビットコインの価格は理論的に59,000 USDになるといいます。このためETFの申請が通るかどうかは決定的に重要です。

年末までは横ばい?今するべきことは?

今のビットコインはマウントゴックス事件直後と同じくらいの売り込まれ状況であるようです(上画像参照)。佐々木さんの予想によれば、マーケットが傷んでいるので「年末までは横ばい」とのことです。ただETFが通ればもちろん話が変わってきます。今のビットコインの市場は、価格が動かないため、人が入って来ず、人が入って来ないため、価格が動かないという悪循環に陥っているようです。
佐々木さんによれば、現在のように市場が動いていない時にいろいろと仕込んでいる人が勝ち組になるといいます。考え方のヒントとして「今自分がマウントゴックス事件直後に戻れば何をするか?」について考えてみるとよいとのことです。知識を深めるもよし、人脈を作るもよし、技術を磨くのもよし、このようなアクションを忍耐強く行えるかどうかが今後に大きく影響してくるでしょう。

Pickup②:ブロックチェーン技術トレンド概観

次に2つ目にご紹介するのが、野村総合研究所 上級システムコンサルタントの畑島崇宏さんによる講演です。
ブロックチェーンの技術トレンドを広範かつ詳細に俯瞰した講演は圧巻でした。
畑島さんによると、今後ブロックチェーンが産業として離陸・飛躍していくためには

  • プロトコル成熟
  • ユースケースフィット
  • レギュレーション整合

が重要な成功要因になります。
この講演はスライドの完成度が非常に高く、勉強する前に技術トレンドを体系的に把握することにピッタリでしたので、スライドの内容をまとめることにします。

プロトコル成熟

現行ブロックチェーンの課題 ブロックチェーン技術成熟の方向性
スループット スケーラビリティ性能が不十分 オンチェーン・オフチェーン両面でスケーラビリティ向上にむけた改善
プライバシー 取引履歴が明かされる前提での検証メカニズム 取引履歴(署名者・数量・アセット種別)を秘匿したまま検証可能に
ガバナンス コミュニティ内のガバナンス成熟に向けた黎明期 フォーマルな意思決定が可能なガバナンス構造を取り入れる等の動きも
セキュリティ 安全性の検証が不十分 運用面もふくめ、実装の安全性を担保していく手段の確保が必要
スタンダード 標準化が行われないままビジネスが始まっている 技術の熟成と平行で、相互運用や国際標準化の動きも加速

スループット課題

Bitcoin Ethereum
オンチェーン ・Segwit
・Sidechain
・Big Block
・Sharding
・Sidechain
オフチェーン ・Payment Channel
・Lightning Network
・State Channel
・Raiden Network
・TrueBit
ベースレイヤー
(ネットワークレベル)
・BloXroute (大きなデータを大規模ネットワークへ送信するのに最適化されたネットワーク)
・Teechain (TEEを用いて高速ペイメントを実現)

プライバシー課題

Bitcoin Ethereum 秘匿コイン
トランザクション
バランス
ポリシー
・Confidential Transaction
・Bulletproof
・Coinfidential Assets
・zk-SNARKs
・zk-STARKs
・Dash → Coinjoin
・Zcash → zk-SNARKs変形
・Monero → Rng署名/Ring CT/ステルスアドレス
・Mimblewimble
トランザクション
リンク
プライバシー
・Coinjoin
・Value Shuffle
・TumbleBit
・ZeroLink
・Ring署名
・Dandelion
コントラクト
プライバシー
Discrete Log Contract Enigma

セキュリティ課題

署名
(Bitcoin)
ECDSA 現行のBitcoinで採用
Shnorr署名 署名集約 Scriptless Scripts
・MAST
・Taproot
・Graftroot
BLS署名 Shnorr署名の課題「マルチシグに2ラウンド会話が必要」「署名集約時に乱数生成者が必要」を解決
攻撃 ・MonacoinでBlock Withholding攻撃、VergeやBitcoin Goldで51%攻撃
・理論的に可能な攻撃は全て実際に実行される時代に

ガバナンス課題

Bitcoinの
マイニング分散
・Optical PoW(PoWx)
→ 光学コンピューティングを用いたマイニング分散およびエネルギー消費の抑制
・BetterHash
→Stratumマイニングプールプロトコルにおけるネットワークの検閲体制強化
EthereumのPoS化 ・Casper FFG
→ PoW上にPoSをオーバーレイ
・CasperとShardingの統合アップデート
→ Ethereum 2.0
Crypto Economics ・経済的インセンティブ・ペナルティを通じて、コンセンサスプロトコルを安全なものに
→ 例1:CasperのSlasher(懲罰没収)
→ 例2:TrueBitのVerifier(計算結果の検証チャレンジゲーム)

標準化課題

インターブロックチェーン Cosmos ・異種チェーン間のトークン移転
・HubとZoneからなる相互運用可能なブロックチェーンネットワークを形成
・Hub ~ Zone間はIBCプロトコルで接続
Polkadot ・ブロックチェーン間の接続ネットワーク
・トランザクションを並列実行するParachain用いたスケーリング効果も期待
EVM Bridge ・EVMチェーン間でデータをリレー
・他のEVMチェーンへの価値移転を可能に
新しい
パブリックブロックチェーン
スマートコントラクトプラットフォーム ・EOS
・Tezos
・DFINITY

ユースケースとのフィット

DappsとLapps

Dapps Lapps
トークン交換やゲームが主流 マイクロペイメント・即時着金利用
IDEX スマートコントラクトベースのDEX Satoshi’s Place 1Satoshi払ってピクセルを塗りつぶす共有お絵かきボード
FolkDelta ERC20トークンの交換所 Poketoshi ゲームキャラクターの動作操作へのマイクロペイメント
Bancor 売買価格の双方合意問題の解決をはかる Lightning Spin マイクロペイメント/即時着金を用いた少額ルーレット・ギャンブル
CryptoKitties 子猫の収集・育成アプリ
Etheremon モンスターの捕獲・進化・バトルアプリ LightningJP APIコール課金によるツイート
Augor 分散型予測市場 Zigzag 即時着金を用いてBitcoinを送るとアルトコインを返金

分散金融エコシステム

エンドユーザ層 ヒト アプリ
(AI・VR等)
デバイス
(IoT)
アプリケーション層 譲渡・貸借・投資・貯蓄・保険・融資など
トークン層 証券
[Equity]
債務
[Dept]
Asset
[不動産や現物]
各種NFT 暗号通貨 Stable Coin
リクイディティ層 DEXプロトコル
レッジャー層 ブロックチェーン

レギュレーション整合

北米圏 ・SEC、日中央集権制などを理由として、現時点のEthereumは証券にあたらないと声明の発表
・Gemini、NYDFSからNY州で初めてZcash取引承認
・CBOE、ビットコインETFライセンスをSECへ申請
欧州圏 ・スイス証取、規制下でカストディつきの暗号通貨交換業SIX Digital Exchange(SDX)立ち上げへ
・Parity Technologies、GDPRの削除権を考慮して、ICOパスポートサービス(Ethereumアドレスをユニークアイデンティティに紐付け)を停止
アジア圏 ・中国銀行業監督管理委員会、暗号通貨関連ライセンス発行に言及
・韓国、ブロックチェーン業界を公式産業分類へ

Pickup③:セカンドレイヤー、クロスチェーンが拓く新しい暗号通貨エコシステム

日本デジタルマネー協会理事の大石哲之さんの講演です。
最後を飾るにふさわしく、暗号通貨の未来にワクワクせざるをえなくなる素晴らしい講演でした。

「暗号通貨は何に使えるのか?」と質問されるとついつい困ってしまいますよね。なぜなら現状において暗号通貨が日常的に利用されているかと聞かれたら、それはおそらく「NO」だからです。ただ大石さんは仮想通貨の利用シーンについてユニークなアイディアを提起してくれました。大石さんは「暗号通貨はまだまだ見えていない部分で使われていくのではないのか?」と述べ、そのような領域を「見えざる経済」と呼んでいます。

見えざる経済は「評価経済」や「トークンエコノミー」と呼ぶこともできますね。大石さんは「見えざる経済が、今のお金の経済よりも多く存在しているのではないか?」と投げかけます。そして暗号通貨が利用されるシーンについて新しい用途を想定されています(上画像参照)。彼によると、法定通貨はこういう利用シーンにおける価値のやりとりに向いていません。なぜなら法定通貨のシステムは、中央集権的でコストがかかりグローバルに利用することができないからです。

見えざる経済を支えるシステムは現在進行形で発展し続けています。ここでは「前提」「ナカモトサトシによるビットコインの発明」「ヴィタリック・ブテリンによるスマートコントラクトの発明」「これから」と4つの段階に分けて、重要なトピックを説明してくれました。さまざまな技術が乱立する中で、本当に重要なトピックを平易なコトバで語ってくださり、頭の中が整理される思いでした。

大石さんは、今現在レイヤリングの技術がとても盛り上がっていると言っていました。今まではブロックチェーンの層だけに注目してきたものが多い中、これからはその上にもっと別の層が積み重なっていくと指摘しています。重要なことは、さらなるレイヤー化とチェーン同士のコミュニケーションだといいます。プロトコルのレイヤーを分離してそれぞれ独立し、進化し、競争するようにすることが今後の暗号通貨の方向性だとまとめています。それによって冒頭で述べた「見えざる経済」が実現する社会になれば、きっと面白いですね。

まとめ

HashHub Conference 2018イベントレポートをお届けしました。ご来場できなかった方にもイベントの雰囲気が伝わりましたでしょうか?五月雨はこのイベントに参加して「暗号通貨の未来は明るい」と確信しました!また、ここでご紹介したセッションの他にも面白い話はたくさんありました。例えばセキュリティ、規制/税制、ブロックチェーンの限界などなど・・・。HashHubはこれからもイベントをどんどん開催していくようですので、今回参加できなかった方はまた次回にでも参加してみてくださいね!

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五月雨まくら

五月雨まくら

一橋大学商学部(専攻:芸術産業論)卒業。 外資系コンサルのアクセンチュアを経て独立、ライターになる。 2017年5月、仮想通貨に興味を持って以来、さまざまなメディアにコラムを寄稿。
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